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このページは、2008年ブレインワークス刊行の書籍「こんな会社で働きたい! IT産業の個性派企業15社」を、ブレインワークス様の許可を得て転載しています。

トップに立てる人材を育てる

根拠ある見積もりと説得力で良好な関係を構築

 意見を伝える技術を磨くことは、説得する力をつけることでもある。時にクライアントから無理難題を押しつけられがちな中小の開発会社にとっては、生命線にもなる力だ。「できるかぎりのことは受け入れますが、無理を受け入れ続ければこちらがつぶれてしまいます。譲る部分もあればあきらめる部分もある、というかたちに説得できる力が必要です」と鵜飼氏。

 もちろん、口が達者なだけでは説得できない。しっかりとした技術力と、常日頃からユーザーのためになるシステムづくりのために有益な意見を提示してきているという信頼感が、クライアントの譲歩を引き出す土壌になるのだ。

 さらにプラス・アルファではクライアントからの極端な無理を言われないための工夫として、独自の見積書づくりを行っている。一般的な見積書では、全体を通した工数として何人月かということと、その単価を示す程度のものが多い。しかしプラス・アルファの見積書には、何にどれだけの時間がかかり、そのためにどれだけのコストが必要なのかが明示されているのだ。

「この見積書をつくるようになってから、何でこんなに時間がかかるんだ、というようなことは言われなくなりました。工数に関しては納得してもらえるわけです。次に問題となるのはコストですが、根拠のある見積もりを出しているので、実はこれほどの予算はさけないといった本音の部分を正直に相談してもらえるようになりました」と鵜飼氏は語る。予算が足りない場合に何を削るのか、プラス・アルファ側がどういうかたちで応じるのかという話し合いはその後に必要だが、その話し合いに入る前の駆け引きが不要になるというのは大きなメリットだ。

「私たちは正直に言っていただければ駆け引きをする気はありません。そんなことで一ヶ月、二ヶ月と時間を浪費することは非常にもったいないことです。もちろん、話し合いの結果で他社に仕事が流れることもありますが、実力的な問題でまた弊社に戻ってくるケースも少なくありません」と鵜飼氏。技術に自信があるからこそ、はっきりと意見を伝えることができるのだ。

出典「こんな会社で働きたい! IT産業の個性派企業15社」

編著 ブレインワークス
発行人 玉置哲也
発行所 株式会社カナリア書房
発行日 2009年 1月10日
ISBN 978-4-7782-0087-9