メディア掲載

このページは、2008年ブレインワークス刊行の書籍「こんな会社で働きたい! IT産業の個性派企業15社」を、ブレインワークス様の許可を得て転載しています。

こんな会社で働きたい! IT産業の個性派企業15社

PART III 『熱い想いを伝えたい! 個性派社長のメッセージ』

 クライアントの言うことに振り回されるのではなく、主張すべきことはきちんと述べてより良いシステムをともに作り上げるという手法を実践し、クライアントにも評価されている企業がある。いずれは全員がトップに立てる人材にしたいという、その教育と取り組みを紹介しよう。

トップに立てる人材を育てる

積極的な資格取得で技術力をアピール

 日本中が舞い上がっていたバブル経済が崩壊したころに株式会社プラス・アルファ(以下、プラスアルファ)は設立された。大手ソフトウェアメーカーの技術者五人が独立起業、その技術力を武器に不況のなかで勝ち残ってきた。

「当時のメンバーの内訳は営業一人、メインフレーム系技術者二人、PC系技術者二人。まだメインフレームが現役でしたが、いずれ汎用機の時代は終わると感じていたため、クライアントサーバーシステムに強い会社になろうと考えました」と代表取締役の鵜飼誠司社長は振り返る。クライアントサーバーシステム全般に手を出すのは難しいと判断し、得意分野をつくるためにマイクロソフト製品とオラクルのデータベースに関する技術を特に磨いたという。

 技術の証として、資格取得にも積極的に取り組んだ。「表面的なものではありますが、対外的なアピールになります。会社が全面的にサポートする形で資格取得を推奨しました」と鵜飼氏。一度取り組んだからには受かるまであきらめないことを条件に、取得に必要な講習会への参加費や受験料などは全面的に会社が負担したという。社内で資格取得に向けたカリキュラムを実施するのは難しいため、外部の教育体制をうまく利用して自社の価値を高める作戦だ。

「マイクロソフトの認定技術者やオラクルの認定技術者の資格を取得することで、小さな会社でもこんな技術者がいるんだね、と思ってもらえます。そのために、積極的に取り組んでもらいました」と語る鵜飼氏だが、社員に対して強制的に資格を取得させることはない。あくまでも自発的に取り組み人に対してのサポートだ。

 社員の自発性を重視する鵜飼氏は、入社何年目から資格取得に取り組むようにという指標も設けていない。「『あなた、やりなさい』ではなく、『やらせてください』と言うのを待っています。もちろん、やれそうだと思えば声をかけたりしますが、私はすべてにおいて強制したくないと考えています。スキルの向上や自己啓発を命令されてやるというのはおかしなことです。自分のために一生懸命取り組み、それが会社のためになるというのが理想的な形です」(鵜飼氏)

前ページ 1 2 3 4

出典「こんな会社で働きたい! IT産業の個性派企業15社」

編著 ブレインワークス
発行人 玉置哲也
発行所 株式会社カナリア書房
発行日 2009年 1月10日
ISBN 978-4-7782-0087-9